柴犬わっちは勤務先の青果店で今日もお仕事。
「わっち、今日はお客様のカットフルーツの注文があるから急いで準備してくれ!」とヤギのメェ店長がわっちに言った。
「はい!」と元気よく返事をし、色とりどりのフルーツをカットしていくわっち。明るい色のパイン。鮮やかな赤に染まったイチゴ。芳醇な香りのメロン。色の組み合わせを考えながらフルーツを組み合わせる作業は、意外と繊細なわっちには得意な作業であった。
「よし、最後にバジルを上にのせて、完成っと!」
色鮮やかに並べられたカットフルーツをお客様が来るまで大事に冷蔵庫に保管するわっち。
数分後、「わっち。お客様がお見えになったぞ」と店長の声がした。わっちは、カットフルーツをそおっと取り出し、お客様のもとへ運ぶ。
「わぁ、キレイ!」とお客様。「今日、子供の誕生日なんです。パーティをしたくて」
「それは、おめでどうございます!こちらのカットフルーツでよろしいでしょうか?」と店長がお客様に伺う。
「はい!こんなにキレイなフルーツ盛りになるなんて…!ここへ来て良かったです!」とお客様は笑顔で商品を購入してくださった。
「わっち!よくやったな!お客様とっても喜んでくれたみたいだ!」とメェ店長は笑顔でわっちに言う。
わっちもニコっと笑顔を店長に向け、しっぽを振り振り。
気分良く仕事を終えることができたわっちはご機嫌で帰宅。今日も寄り道して、空き家の庭に入る。
すると木陰のベンチには、この町でカウンセラーとしているクマのドン先生がいつものようにベンチに腰かけていた。
「ドン先生!今日はいい天気ですね!」とわっち。
「今日はなんだか元気そうだね!良い事でもあったのかい?」とドン先生は笑顔でわっちに質問した。
「そうなんだ!」と今日は自分で作ったカットフルーツでお客さんが喜んでくれた事をドン先生に興奮気味に話すわっち。
「おぉ!それは良かったね!わっち!そんな時は思いっきり自分を褒めてあげよう」とドン先生はわっちに笑顔をむけた。
「自分を褒める?店長は褒めてくれたよ?」とわっち。
「わっち。自分で自分を褒めることをしていないのかい?勿体ないなぁ。HSPは感受性が強い。ネガティブな事に反応して心が締め付けられがちなんだけど、反対にポジティブな出来事にも敏感なんだ!だから、そういう良い出来事を自分で起こせたときは大いに『自分はすごい』『自分って仕事できるじゃん』って褒めてあげよう。この自分を褒めるというとを習慣化できるとHSPは自己肯定感がグッと上がるよ!」とドン先生はわっちに諭す。
「自己肯定感?って?」とわっちは聞きなれない言葉をドン先生に質問する。
「簡単に言うと、ありのままの自分を肯定的にとらえるという事かな!HSPはネガティブに引っ張られて、自己否定に走ることがあるから、今日のようなポジティブな出来ことを利用して思いっきり自分を認めてあげるんだ。自己肯定感が上がってくると、自分を好きになって、今よりも生きるのが楽しくなってくるよ!その第一歩が『自分をほめる』という事だね」とドン先生。
「なるほど!何か自分が役に立てた時はそうしてみようかな!」とわっち。
「うん。自分を好きになれると、ゆっくりとだけど、ネガティブな面もポジティブに変換できるようになるからね!」
つづく