柴犬わっちは、いつもよく来る空き家の庭で本を読んでいた。
『あるところに、村で人気者の子豚が住んでいた。今日は引っ越しで新しい住人がやってくるらしい。子豚はわくわくして待っていた。「この村で人気者が行って、オレが1番だって事をまずは教えてやらなきゃな。」そう言って子豚は新しい住人を待っていた。日がちょうどてっぺんに昇る頃、峠の方から住人らしき者がやってくるのが見えた。子豚はあいさつをしようと出迎えた。近づいていくと、足がスラっとして、キレイなたてがみをなびかせた白馬がやってくるのが見えた。「か、かっこいいなぁ」子豚はその白馬の美しい容姿に思わず声が出た。
この白馬が村で1番の人気を得るのには、そう時間がかからなかった。
体が大きくスラっと長い脚、キレイなたてがみ。体が小さく、短い脚、毛の短い子豚は白馬の容姿を羨ましがり、「俺も白馬に生まれたかった」と漏らす。』
柴犬わっちは本に栞を挟み1度パタンと閉じた。「ボクもこの子豚と似たような事、時々思う事あるな。言いたいことをバシッと言える人とか、大勢の集まりで堂々と話して、輪の中心にいる人、色んなことをうじうじ考えないでパッと行動に移せる人…。ボクは正反対だから、そんな人に生まれ変わりたいって思うな…。」わっちはそう呟きながら、空を見上げた。
その瞬間、にゅ~っと大きな顔が空の雲に覆いかぶさるように、わっちの視界に入ってきた。「今日は読書かい?」
わっちはびっくりして崩れた体制を整えた。「わっ💦びっくりした~💦なんだ、またドン先生か。」
「またかとはひどいな。いつも驚かせているみたいじゃないか。」この町でカウンセラーをしているクマのドン先生は大きな体を揺らしながら笑い、2人は木陰のベンチに腰掛けた。
「この本の子豚くんにボクを照らし合わせていたんだ。他人の良いところが目について、だんだんボクを追い越していってしまうような、色んなものを手に入れていってしまって置いてけぼりになるような感覚。ボクも分かるなと思ってさ。」とわっちのしっぽに元気がなくなった。
「そうかい?他人にを羨ましく思う気持ちは誰しもが持ってる。ってことは、わっちだって誰かから羨ましがられてるってことだぞ!それに表面上の見える部分だけを切り取って見ると確かに優れて見えるかもしれないし、羨ましく思うかもしれない。けど、実際にその人の立場に立ってみると、優れた能力や価値と思っていたものが、全然、無価値なものということだってある。」とドン先生は言った。
「ボクが羨ましがられてる事なんてないよ~。それに、他人の優れている点が無価値なものってことって…。」わっちは頭をかしげた。
「実際、わっちの読んでるその本。続きを読んでみなよ。」ドン先生はわっちに、栞を差し込んだページの先を読んでみるよう指差した。
『人気者となった白馬だったが、なにやら不安げな表情を浮かべている。「どうしたんだよ。そんな顔して。村のみんなから、羨ましがられてるクセに、何か不満でもあるのか?」と子豚は問うた。「隣村が攻められたみたいだ。敵を討つために、この村の代表たちが戦を始めるそうだ。足が速くて戦いに有利なオレが駆り出される事になった。何が大きな体だ。何が長い足だ。俺も君みたいに、平和な毎日が過ごしたい。君が羨ましいよ。」白馬はそう答えて、その場を去ってしまった。』
わっちはハッとして、本をパタンと閉じた。「その人の立場になってみないと、幸せのありかって分からないんだね。」わっちはうるっときた目をこすりながらドン先生を見上げた。
「そうだね。幸せってみんなが持っているんだけど、なかなかそれに、気づけない。みんな、自分の幸せを無視して他人の幸せばかり見ている。だから羨ましいって気持ちが芽生えるんだけど、ホントはすぐそこにあるんだよね。」とドン先生。
「そうなんだね。ところでドン先生この本知ってるの?」とわっちは聞いた。
「うん。有名な童話だね。ボクもよく昔は読んでもらったんだよ。大事なことに気付けるよね。ちなみにわっちは、その繊細な心。それが長所にもなっているんだよ。この本から大切な本質に気付ける心。これはみんなができることじゃないから。」とドン先生はにこっとわっちを見る。
「ドン先生。ありがとう。」
わっちは、本の続きを一緒に読もうと、ドン先生を誘って2人で読むことにした。
「いいよ。ちなみに白馬は無事に帰ってくるから安心しなよ…!わっち。」
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