HSPの柴犬わっちは、自分の性格についてよく悩むことがある。
「ボクはこんなに繊細で大丈夫なんだろうか?」とつぶやくわっち。
テレビに映る芸能人のように自分の意見をズバッと言うことができない。その場の雰囲気にのまれてしまい、委縮してしまう。すぐお腹が痛くなる。会社で嫌なことがあると、すぐに辞めたくなる…。
以前よりは意見を言う術を学んだし、時には回避する方法も学んだ。けど、まだまだ他の普通に過ごしてる人にさえ、劣っているのかも…。と時々思い出したりする。
「どうしてあんなに平気な顔で自分の意見が言えるんだろう?なんでこんなに重い空気の中、平気な顔していられるのだろう?なんで、あんなに体が丈夫なんだろう?なんであんなに大きな声が出せるの…?」
テレビやスマホ、マンガの主人公、会社の先輩、友達などと自分を照らし合わせては、他人をうらやましく思ってしまうことがあるわっち。
「いやいや。せっかくのお休みにこんなネガティブな事考えてもしょうがないな。気分転換にちょっと外にでも出てみよう。」
わっちは、いつもよく行く、空き家の庭へ出かけることにした。
いつもの日の当たる芝生のベッドまで来たところで、木陰のベンチに誰か座っているのを目にした。
「あ!ドン先生!今日もここにいたんだね!」とわっちは思わず声が出た。
この町でカウンセラーをしているクマのドン先生が、木陰のベンチにドシッと座っていた。
「お!わっち。こんな時間に会うとは。今日はお休みかい?」
「そうなんだ。ドン先生。おウチにいても、何だか落ち着かなくてさ。気分転換にここに来たんだ。」
「落ち着かない?何かあったのかい?」とドン先生は不思議そうにわっちの顔を覗き込んだ。
わっちは、1人でウチにいると自分が他人よりも劣っているのではないか、ということや他人が羨ましいなどの思考が頭の中を渦巻いて落ち着かないということを話した。
「なるほど。ネガティブな反芻思考がやまないのか。それは、HSPにはあるあるかもね。」とドン先生。
「反芻思考?」とわっちは首をかしげる。
「うん。繰り返し考えてしまう思考のクセみたいなもので、ネガティブに注意が向きやすい繊細さんは、ネガティブ思考を永遠と繰り返してしまうんだよ。これは脳の注意制御機能をポジティブなものへと注意が向くように訓練することと、あとは、『他人の成功より自分の成長に意識を向け、自分を好きになる』という自覚を持つことが必要だね。」とドン先生。
「そうなんだ。けど、自分の成長に意識を向けるってどうしたらいいのかな?それと注意制御機能??難しい言葉でわかんないよ。」とわっち。
「うん。注意制御機能というのは脳科学の言葉で、注意が向く対象を制御する機能のこと。例えば、泣いている人と笑っている人の2枚の写真を用意されたとき、自然とどちらに注意が向いてしまうか。といった脳の機能のことで、これは日常生活でどっちによく注意を向けてきたか。で決まるクセのようなものだね。だから、ポジティブな方に注意が向くようにクセ付けできればよい。笑っている人に注意を向ける練習を、写真を使ってやってみてもいいかもね。」ドン先生は続けた。
「あと、人は『他人の優れているところ』に目が行きがち、なんだけど、それをするということは、自分の劣っているところを同時に見ていることになる。それだと『自分を好きになる』ことはできないよね。それよりも、『今日、自分は○○をがんばったんだ!』『苦手な○○をやってみたんだ!』だから以前より成長している。と自分の成長に注意を向けることが大事。頑張って成長している自分を認められるようになってくれば、自分が徐々に好きになってくる。」ドン先生は説明した。
「なるほど!自分が成長していることを実感することを日常の中から意識できると、ネガティブ思考が薄れてくるかもね。注意をポジティブなものや自分の成長に向けられる練習をしてみるよ。」そう言ってわっちはしっぽを振った。
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