柴犬わっち、本日はお休みの日。ベッドでゴロゴロしながらスマホでSNSチェックをしていた。
「あの人、仕事のこと書いてるな…ボクの事言ってたりして。あ!あの人この前の事言ってる、ボクもその場にいたからな…悪い事言われてなきゃいいけど…」
心が繊細なHSPのわっちは、友人や知人のSNSを見ては、悪口など書かれていないか心配になる時がよくある。
「ふう~。今日は何も書かれてないみたい」そう言ってベッドから起き上がったわっちは、少し遅めの朝食をとった。すると、「ピコーン」とLINEの通知音でスマホを見るわっち。
「あ!仕事のLINEだ。今返さないと困るよな」そう思ってご飯を一時中断し、仕事の資料を持ち出しては返事を打つわっち。
「よし、これでオッケー」そう言って、冷めたご飯とお味噌汁をすするわっち。「もう冷たくなっちゃった。まぁいつもの事だししょうがないか」
朝食を終えたわっちは外へ気分転換に出かけた。散歩がてら、いつも通りかかる空き家の庭へ寄り道した。寝転がると気持ちがいい、フカフカの芝生に座り、ぼーっと空を眺めた。しばらくしてスマホの通知音が鳴った。ふと我に返ると友人のツイートやブログを読みふけっていた。
「あ、あの子この前の話してる、ボクの事言われてないかな…」そう心配していると、茂みの奥からガサガサと音がした。わっちはふとその方向を見る。大柄の体躯がこちらへ近づいてきた。
「あ!ドン先生!」
この町でカウンセラーをしているクマのドン先生だった。約束をしている訳でもないのだが、いつもこの庭でわっちとよく会うのだ。
「こんにちは、わっち。こんなにいい天気なのにスマホばかり見て。もったいないぞ!」とドン先生。
「だってさ、SNSで知り合いが自分の事話してないかと思うと気になっちゃうんだもん。万が一悪口なんかを言われていたらと思うと心配になっちゃってつい…」とわっちは話す。
「わっちは自分が他人からどう思われているのかすごく気になるし、たくさんの人から好かれたいって思っちゃう性格だからなぁ。まぁHSPはそんな傾向にあるんだけど。あまり気にしない方がいいぞ?」とドン先生。
「なんか、SNSで常につながって交流していないと置いてけぼりになったりしないか不安で。仕事のLINEとかも早く返さないと気まずくてさ…」とわっちはこぼす。
「その他人から嫌われたくない気持ちはよく分るよ。怖いよね。だけど、あまり人から好かれたいと強く思いすぎない方がいい。そういう自分が嫌になってこないかい?」とドン先生。
「そうなんだ。なんか、自分の心が消耗しちゃうんだ。休みの日の方が逆に疲れたり…」
「そうだろ。わっちの人生の主人公はわっち自身だ。自分から嫌われてしまっては元も子ない。SNSから少し遠ざかる時間を持つといい。そして自分のタイミングで連絡を返していいんだ。お休みの日は自分の時間なんだから、自分の好きなように使おう。緊急でない連絡なら少しくらいスルーしたっていいんだ。まずは、自分と向き合う時間を作る事。自分を嫌いにならないように好きなことに時間を使うんだ。自分の心が満たされないと他人の心を満たす努力もできないぞ。そしたら心配事がもっと膨れ上がってしまう。だから、自分の為の時間を持とう!最悪他人に好かれなくったって、自分が自分を好きでいれば、心が上を向いた状態で生きられるもの。自分を好きになるには自分の為に時間を使うことが始まりの一歩だよ!」とドン先生は話した。
「自分の為の時間か…。確かに他人SNSとか仕事のLINEとかって、他人に時間を使ってるような…」
「よく気づいたねわっち。つい他人の行動が気になるのも分かるけど、自分の行動にも関心を持とう。何をしたいのか。何を見たいのか。何を聞きたいのか。もっと心の声を聴いて小さな望みでも少しづつ叶えていくんだ。そうすれば、心が喜んで自分の心が自分をもっと好きになってくれる」とドン先生はわっちの背中をポンと押した。
「そっか。ちょっと自分の心に聞いてみようかな…。ドン先生!おなか空いた!カレーが食べたい!」とわっち。
「そりゃ、仕方ないな。よしお昼ご飯いくか!」そういってドン先生とわっちは、お昼ご飯を食べに町に出かけていくのであった。
つづく