柴犬わっちは今日も町の青果店でお仕事。以前にヤギのメェ店長から頼まれた売り場のレイアウトを作成するため、事務室で机に向かっていた。
「ここにはオレンジを配置して…っと。」果物のレイアウトを考えるわっち。すると、ヤギのメェ店長が事務室に入ってきた。
「おお、わっち。仕事は順調かい?」そう言って店長の席に着き仕事を始めた。
「店長が居ると、めっちゃ仕事やりづらくなったな…。なんか監視されているみたいな気分…。」そう心の中でつぶやくわっち。
「おう!わっち!何してんだ?」とライオンのゴウ先輩も隣に座ってきた。
「ゴウ先輩…。れ、レイアウトを作成してて…。」と返すわっち。
「レイアウトか!あ~この前の店長の宿題な!やるじゃん!俺、今から発注すっから。隣のパソコン借りるぜ。」と言ってゴウ先輩はわっちの隣で仕事をし始めた。
「隣に誰かいると、落ち着かない…。急に集中できなくなっちゃうんだよな…。」と思うわっち。
「ん?どうしたわっち。進んでないぞ?気にせずやっていいんだからな」メェ店長は気を遣って話しかけてきた。
「あ…はい。あ!そうだ…ボク他にもやらなきゃいけない事あったんですよ…!」とわっち。
「そうなのか?」メェ店長とゴウ先輩は不思議そうな表情でわっちを見た。
仕事を終え青果店をを後にするわっち。とりあえずレイアウト作成は一旦後にすることにした。「みんないると全然作業に集中できないな。なんか見られているような感じで落ち着いて作業できなくなっちゃうんだよな。」
そう呟きながら、いつも寄り道する空き家の庭に向かった。
庭へ到着し辺りを見回すわっち。ベンチに腰かけて居眠りをしている大きな体躯の姿を捉えた。
「ドン先生!」と大きな体躯を揺らすわっち。
「ん?おお!わっちじゃないか。おはよう。」この町でカウンセラーをしているクマのドン先生が目を擦りながらお目覚めのようだ。
「ドン先生。おはようじゃないよ。もう夕方だよ。」とツッコむわっち。
「ははは。そうだね。わっちは仕事帰りみたいだね。今日はどうだった?」
「うん。ちょっとしたことなんだけど。」と口を開き、周りに誰かがいると見られているようで仕事に集中できなくなる事を話すわっち。
「なるほど。繊細なHSPあるあるかもね。」とドン先生。
「あるあるなの?」と尋ねるわっち。
「うん。私のクライアントさんでも、人目が気になってまったく仕事が進まないとか落ち着いていることができない。なんてHSPさんがたくさんいるよ。」
「どうしたらいいのかなぁ?」とわっちはドン先生の顔を覗き込む。
「うん。例えば、机のサイドに本や資料を積んで壁を作ってしまうとか後は、だて眼鏡をかけて少し視界をせまくするとフィルターがかかったようで、気分がラクになるって人もいるよ。」とドン先生。
「自分から相手をを見えづらくするってことか。」とわっち。
「そうそう。些細な刺激にも反応するHSPだから、余計な視覚情報をなるべくカットできるといいね。後は、ノイズキャンセリングのイヤホンもおすすめ。聴覚からの刺激が気になる人は使ってみよう。耳栓があると集中できた。なんて声も聞くからね。また、お気に入りの観葉植物とか好きなデザインの小物なんかを置いたりすると、気分が少しホッとすることもある。自分にとって居心地の良い空間で仕事ができると安心できるから。」ドン先生は続けた。「どうしてもその席で色々試してみでもダメな場合は、端の席に移動させてもらえるよう頼んだり、空いている会議室や休憩室などを利用するのも手だ。」とドン先生はわっちに説明した。
「やっぱり、周りからの刺激で仕事がやりづらくなってたんだな。ドン先生のアドバイス参考になったよ!明日から実践してみるね!」としっぽを振るわっちなのであった。
つづく