柴犬わっちは、今日も町の青果店でお仕事。
春になったので、旬のタケノコの皮をむいたり、半分にしたりしてお客さんに提供していた。
「やっぱモーソー筍はおっきいなぁ!これを煮て食べると美味しいんだよな♪けどお値段も張るから、半分カットの商品も、もう少し出しておこう。」わっちはそう言って、大きな包丁でタケノコをバサバサと切っていった。
「わっち!でっかいタケノコだな!チビのお前にはなかなか大変だろ。俺にまかせな!」そう言ってライオンのゴウ先輩が代わってくれるようだった。
「そうですか?ではお願いします。」わっちの体格では切るのが大変なので、力のあるゴウ先輩に代わってもらってラッキーだった。が…
「あ、あれ、ゴウ先輩、タケノコの泥、洗い落としてないぞ…。いいのかな…。」と泥だらけのタケノコを切るゴウ先輩がだんだん心配になるわっち。
「あれ?先輩、皮をはぐのも忘れてないか…?」と細かい先輩のミスが気になるものの、なかなか言い出せないわっち。
「ここで指摘しちゃうと、ゴウ先輩のプライドが傷つくかな?せっかく手伝ってもらってるのに…。けどこれだとお客さんにも迷惑がかかっちゃうし…。」と葛藤が頭をめぐるわっち。
とそこに、八百屋の店長であるヤギのメェ店長がひょっこり顔を出した。
すかさず、わっちは「て、店長!今ゴウ先輩がタケノコ切るの手伝ってくれているんですよ!」と助け船を出してくれるよう店長にアイコンタクトを含めて、やや大げさ気味に伝えた。
「そうなのか?どれ…?ゴ、ゴウ君、泥はきちんと落としてから、切りなさい。あと皮をキチンと剥いでトリミングも忘れないようにな。」と店長はゴウ先輩に指摘した。わっちの思い通り店長から指摘してもらったが、同時に心配そうにゴウ先輩を見た。
ゴウ先輩はやや面白くなさそうな表情を浮かべながら「あっ!久しぶりなんで忘れてました。もう、わっちも早く言ってくれよな。」と言いながら作業を続けた。
仕事を終えて、わっちはいつも寄り道する庭へ向かっていった。「やっぱり今日は先輩の間違いを指摘するべきだったよな~。でもやっぱり先輩には言いづらいし、あんな時はどう言ったらいいのかな…。」と今日あったことを振り返っていた。
庭に着くと、町でカウンセラーをしているクマのドン先生が木陰のベンチで本を読んでいた。
「ドン先生。こんにちは。」
「おお、こんにちは。わっち。今帰りかい?今日はお仕事どうだった?」
いつの間にか、この庭で、仕事の悩みや人間関係の悩みをわっちはドン先生に聞いてもらうのが日課になっていた。
「実はさ…。」と今日、先輩のミスをどう指摘したらよいか、分からないし言いづらかった出来事ををドン先生に話すわっち。
「ん~。なるほど。他の人が気づかない小さなことにもよく気づくんだよね。HSPは。ミスにはパッと気づくけど、相手の気持ちを考慮してなかなか言い出せず溜め込んでしまうんだろ?」とドン先生。
「そうなんだよね。今日はたまたま店長が通りかかってくれて、見てあげてくださいという流れに持ち込めたんだけど。」とわっち。
「でも、それも1つの方法だと思うよ?何でも自分1人で指摘して、苦手意識を増幅させたり、相手に角がたってしまうのを恐れて動けないよりは、言ってくれる人に頼るのも悪い事じゃない。HSPは、完璧主義が多いから、自分1人で仕事をしようとする傾向が強いけど、みんなで仕事をしている組織の場合は、上司や同僚に頼っても良いんだからね。」とドン先生はニコっとわっちを見た。
「なんか、頼っていいって言ってもらうと心が軽くなる感じがするな。」とわっち。
「そうかい?それでいいんだよ。あと、自分でどうしても伝えなくてはいけない場合は、『事実ありきで穏やかに使える』こと。『これはマニュアルでこうなっているので、こうすると良いですよ』とか『こうした方がキレイに仕上がりますよ』と事実を根拠に、笑顔で使えると角が立ちづらいね。」
「ゴウ先輩、マニュアル忘れてたのかもな。今度からマニュアルをベースに話してみよっかな。」とわっち。
「うん。お互いの思い込みや知らない事を予想で話すより、事実をもとに話すことで納得してくれるから。あとは相手もそうだけど、自分もミスをすることを念頭において、お互いにフォローし合って仕事は成立しているからね。『一緒によりよい仕事をしているんだ』というスタンスでいると、伝え方も穏やかで角が立たないから。」とドン先生。
「当たり前だけど、改めて言われると、発見が多いな。そんな風に相手に伝えることができれば、相手も傷つきにくいし良い関係で居られそうだね。ドン先生ありがとう♪」わっちはそう言ってしっぽを揺らした。
桜のつぼみがもう少しで花開きそうに揺れていた。
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