柴犬わっちは、今日も町の青果店でお仕事。
少し汗ばむ季節になり、青果店の品物も少しずつ夏物が増えてきていた。
「冷えたメロンはいかがですか~?」とカットしてメロンを持ってきたわっちは、お客さんに向けてアナウンス。お客さんも、待ってましたという様子でわっちの周りに集まってきた。
「1ついただけるかしら?」とお客さんに声をかけられ、振り向くわっち。
「どうぞ!おすすめのメロン、美味しいですよ。」とわっちはお客さんにメロンを渡そうとした。
するとお客さんは少しためらった様子で、「赤い果肉のメロンはありませんか?」とわっちに聞いてきた。
「はい、ございます。」とわっち。
「赤肉メロンのカットが欲しいのですが、少し急いでて…。ご無理を言って申し訳ないのですが、今切っていただけますか?」とお客さん。
「しょ、承知いたしました!少々お待ちくださいませ。」と言い赤肉メロンを加工室に持っていくわっち。「お客様、急いでいるみたいだから早くしないと…!」と少し焦るわっち。キレイに早く切ろうと包丁を握る手にも力が入る。メロンを切ろうとした瞬間「あっ。」と声が出た。メロンが柔らかく、形が崩れてしまった。「こ、これじゃお客様に出せないな。新しいメロンに交換しなくちゃ。」と売り場に出て、時間は大丈夫かお客さんに聞きに行くわっち。
「すみません。メロンがやや熟しておりまして、形が整わず、新しいメロンを切りたいのですがまだ、お時間大丈夫でしょうか?」とわっち。
「あぁ、そうですか…。残念ですが、もう行かなくては。また今度いただきますね。」と言ってお客さんは帰って行ってしまった。
「お客様に商品を渡せなかった…。もう少し良い状態のメロンを選べていれば…。もう少し早く切れていれば…。」と自分を責めながら、しっぽを垂れるわっち。
その日の休憩時間。
休憩室の日の当たる隅っこの席で、少しばかり元気の無さそうな背中。
「わっちさん!どうしたんですか?元気ないですよ?」とアルバイトのネコのハ、ナさんが話しかけてきた。
「あ、ハナさん。実はさっき、お客さんにちょっと悪い事しちゃって…。」と赤肉のカットメロンを渡せなかったことを話すわっち。
「そうですか~。メロンは熟度によって切りにくい時ありますからね~。でも、わっちさんはお客さんのためにベストを尽くしたんですから、悪い事はしていないですよ!むしろ、落ち込まずに自分を褒めてあげましょう!」
「お客さんの要望に応えられなかったのに。こんな自分でも褒めてやったほうがいいのかな?」とわっち。
「そういう経験を乗り越えていく力があるってことですよ!窮地に陥る人はその経験を乗り越える力があるってことです。今回の件は少し残念でしたが、次回から、たくさんのお客さんに良い商品を提供できるってことですから!今回はよく経験できた!自分すごいって褒めてあげましょう!」とハナさんはニコっと笑顔を見せた。
「確かに自分を褒めると、脳内でセロトニンという幸せを感じるホルモンと、ドーパミンというやる気を高めるホルモンが分泌されるんだ。」とわっち。
「わっちさん、詳しいですね!頭で分かってるなら、実践あるのみじゃないですかぁ~。」と肘でわっちをつつくハナさん。
「ハハハ!知り合いのカウンセラーさんが以前話してて…。そうだね、落ち込んだりピンチの時こそ、『自分はこの状況を乗り越える資格があるんだ!この後大きな事を成し遂げられるんだ!すごい!』って奮い立たせてあげなくっちゃね!」と少ししっぽにも元気が戻ったわっち。
「その調子。わっちさん!さ、ご飯食べましょうか!」とハナさんが言うと、わっちもニコっと笑って「さっきの失敗したカットのメロン、デザートにどう?」とちゃっかりお昼ご飯に持ってきているわっちなのであった。
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