おしゃれな外観と美味しそうな匂い。柴犬わっちの鼻がピクッと反応した。
「お腹へったでしょ?」とクマのドン先生。
2人は新しくできたという町の洋食屋さんへと入っていった。
「わっちは何が食べたい」とドン先生が聞くと、「オムライス!!」とわっち。
「ははは!じゃあ、私も同じものを頼もうかな?」
2人は洋食屋さんで一番人気のオムライスを頼み、話始めた。
「先生、ボクこういう雰囲気のお店で誰かと話すの楽しいんだけど、すぐ疲れちゃうんだ…。なれない雰囲気が落ち着かなかったり、相手の話に上手く合わせられるかな…って考えちゃったり。相手にはいつも申し訳ない気持ちなんだけど、何とかならないのかな?」と唐突にわっち。
「うん。そうだろうね。HSPは感じる力が強いから、一緒にいる友達の表情とか仕草の意味を考えたり、言葉の裏にある本音が気になったりとたくさんの情報を受けすぎるんだよ。」とドン先生。
「どうしたら疲れなくなるのかな???」わっちは聞いた。
「う~ん。疲れなくなるというのは難しいかな。それ、HSPの気質だからね。けど、軽減はできるかな?」
ドン先生が、そう話したところで、たまごが絶妙な半熟状態のふわふわなオムライスが届いた。
「うわ~♡素晴らしく美味しそうだね~♡」ドン先生は大きな口で美味しそうに食べ始めた。「うまい!!わっちもお食べ!」
「話の途中だよ~。もう食いしん坊なんだから…。」とちょっとふてくされた様子のわっち。「けど…美味しい!」絶妙な食感とデミグラスソースのバランスにわっちも思わず声が漏れた。
「ははは!わっち。オムライスのおかげでスイッチが一瞬切り替わったね!意識を向ける対象を切り替えるのが苦手なのがHSP。意識的に自分がどうすれば切り替えが可能なのか、自分を知ることはすごく大事だよ。」ドン先生は続けた。
「わっちのようにご飯を食べると切り替えができるなら、『あそこのご飯屋さんに寄ってみない?』など疲れたら状況を変える工夫をする。また長時間、他人といるのが苦手なら、『その日は〇時で帰るね』と事前に伝えておくとか、誘いは3回に1回は断ってもOKなどマイルールを設定するとラクになる場合もあるよ。どうしても断れない誘いに乗ってしまったら、対面で座るテーブルではなく横並びで座るカウンターを選ぶ。こまめにお手洗いに立ち、自分が切り替えるための時間をあえてとる。なんかもおすすめ。」ドン先生はわっちを見る。
「それなら、すぐにやれそうかも!自分がラクになるものと選んでやってみるといいかもね♪」わっちの表情が少し安心したようだった。
「わっちは食いしん坊だから、常にご飯屋さんに行って環境を変えたら、いいんじゃない?」ドン先生はからかうように言った。
「ひどいな。食いしん坊はどっちかって言うと先生でしょ~!」
その後、他愛もない話をしながら、あっという間にオムライスをたいらげた2人は、デザートのアイスクリームを食べた後で、仲良く店を後にした。
つづく